鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
さすがにここまで言ってくれているのにこれ以上お金を渡すのは失礼な気がしてありがとうごさいますとお礼を言い、お言葉に甘えて化粧室に駆け込んだ。


課長から貰った初めてのプレゼント。結局口紅は塗らなかったから袋から取り出してそっと唇に塗った。


可愛い。この色、本当にすごく可愛い。発色が綺麗であたし好み。嬉しい。


笑顔が止まらなくて怪訝な目でそこにいた人たちには見られたから急いで口紅をポーチの中に入れて課長の元に戻った。



「あの、塗ってきたんですけどどうですか?」



塩大福の店にいるからと予め言われていたのでそこに向かうともう課長は買い物を済ませていた。


お金払わなきゃと思ったけど一番最初に出た言葉はそれだったんだ。どんだけ可愛いとか似合うよとか言われたいの、あたし。


瞬きを繰り返すのに課長からの言葉はない。やっぱり似合ってなかった?



「あの・・・」



「・・・あんまり無防備な顔して、男を見ないこと」



えっ?と戸惑っている間にデコピンが降ってきて、またスタスタと歩き出す課長。可愛いとは言われなかったけどなんだかちょっぴりドキドキした。


追いついて課長の横に並んで歩く。やっぱり耳は赤いんだね。こっち見んなってそんなこと言われても関係ない。


照れてる顔ももっと見たいんだもん。
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