鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
ハンドルを握りながら真っ直ぐ前を見て淡々と課長が告げる。


課長が冴子さんを大事に大切に思うのは課長のお父さんとの約束と育ててくれた恩からなんだ。だから、冴子さんのためなら課長は結婚も破棄できるし、決断もできる。


なら、もし冴子さんが本当にお父さんと結婚したいといえば・・・課長はあたしと兄妹になるの?



「でも、冴子を守るのは徹さんになったかな。徹さんと再会するまでの冴子はずっと俺に申し訳ない気持ちがあったはずだと思う。それが徹さんと出会って少しずつ薄れていったのがわかるから。だから俺は徹さんには感謝してるんだ」



「・・・そう、なんですか」



喉元から出かかった言葉を押し込めた。聞くのが怖かったんだ。もし、冴子さんが本当にお父さんとの再婚を望んだらどうしますか?なんて。だって課長の答えは決まってる。


そう考えると身震いが止まらない。たとえ、二人が思いあっていても課長も静佳さんもお互いの親を選んだ。課長にとって最優先されるのは冴子さんで冴子さんが望むことを叶えてあげたい。



嫌だ。再婚なんて絶対に嫌だ。
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