鬼上司？と嘘恋から始めるスイートラブ

「・・・いいのか？美晴」



「美晴ちゃん、いいの？」



「いいも何も。反対する権利なんて最初からなかった。それなのに私のせいでみんなが幸せになれなかったんだと思うと申し訳ないよ。だからお父さん、冴子さん。幸せになってね」



笑顔でそう二人に告げた後、ゆっくりとあたしは課長を見た。唇を噛み締めて視線を合わせる。二人は嬉しそう。幸せそうに子どもの前だというのに強く抱き合っている。


今は泣いちゃダメ。後でたくさん泣いてもいいから美晴、今は絶対に泣いちゃダメだ。



「・・・悠貴さん、これからもよろしくお願いします」

「美晴？」

泣かないと決めたのに、やっぱり溢れる涙は止めることができなかった。嬉し泣きだよと二人に話すと、冴子さんはお父さんから離れ、「ありがとう」と私を抱きしめる。

これでいい。これでよかった。でも、次はもうこんな辛い恋なんて、課長がしませんように。そう願いながら、私も冴子さんを抱きしめた。