鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
「あっ、佐伯さん。いつも頑張ってくれてるし、今日は定時で帰ってくれていいよ」



「えっ?でも、まだ・・・」



「いいの、いいの。なんたって課長からのお願いだからさ」



定時前、まだ帰れないだろうなと仕事をしていたら松本さんに声を掛けられた。課長からのお願いって、こっちにまで根回しされていたら逃げることもできないよ。


あははと愛想笑いを返すと小さな声で『愛されてるね』と返されてしまった。 課長は、何を考えているのだろう。


連絡するべきかなと、更衣室で着替えながら携帯を見た。こんな時間にここにいるなんて、久しぶり。とはいえ、企画部の人たちはまだ仕事を終えていないのに一人だけ帰るのはなんだか後ろめたくて申し訳ない。


でも、ここの人もみんないい人で、私だけが一人帰社することになってもいつも頑張ってくれているからと快く送り出してくれた。


本当に職場に恵まれてるな、私は。
< 229 / 266 >

この作品をシェア

pagetop