鬼上司？と嘘恋から始めるスイートラブ
「落ち着いた？」



「は、はい。すみません」



「随分と他人行儀だな。でも、俺も公私混同するつもりじゃなかったのにメガネ、外しちゃった」



ようやく落ち着いた頃、課長は体を離し、立てるか？と私に手を差し伸べてくれた。その手を取って立ち上がった私を近くの人の席に座らせてくれると自分もその隣にそっと腰を下ろした。


私を心配してくれた後、戯けてそう言った課長は胸ポケットからメガネをチラリと覗かせた。



「唯野さんから携帯にすぐ連絡が来たんだ。交換していてよかったよ。腕、痛かっただろ。真っ赤に腫れてる」



赤く腫れ上がった私の手首を優しく撫でながら、熱い視線を向けられる。つい、顔を背けてしまった。だって、さっきからドキドキが止まらない。


安堵したと思ったら今度はドキドキしてる。本当に忙しい心臓。でも、やっぱり課長は私のナイトなんだって実感した。
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