鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
顔は見るなと言われたけれど、やっぱり少しはどんな表情でそう言ってくれているのか見たい。チラッと課長に視線をやると優しそうに微笑んでいて、それがまた私の胸を熱くさせた。


「課長って、好きな子をいじめちゃうタイプですか?私にだけはかなりきつかったですよね?」


「・・・お前がミスするからだろって言いたいけどごめん」



好きだと認めるのが怖くてわざとキツく当たってた。なんて愛おしくてかわいいひとなんだろう。

鬼上司なんて思ってごめんなさい。鬼上司を演じさせたのは、私のせいなのに、苦手だなんて思ってごめんなさい。


さっきから一度も瞳を合わせていないのに、紡ぎ出される言葉の一つ、一つに課長からの思いが伝わってくる。ちゃんとやっと、課長の気持ちを知ることが出来た。


「俺はさ、静佳のことがあってかなり恋愛には臆病になってたんだ。だから美晴のことをなかなか認められなかった。好きになるのが怖い。だから気持ちを隠す為に軽いミスでも怒鳴りつけてた。本当、ガキもいいとこだな俺。ごめんな、本当自分勝手でさ」


「正直、腑に落ちないところはあるんですけどあたしも課長のこと結構言ってたんでお互い様ってことで。でも、じゃあどうして急に態度を変えてきたんですか?」
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