鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
冴子さんが用意してくれていたご飯をみんなで食べる。全員が揃っている家族のリビングなのに空気は重い。


美味しいですと私が口を開いただけで、後の人はみんな黙々と食事を済ませた。



洗い物は私がしますと冴子さんに言い、それを手伝ってくれた悠貴さん。悠貴がそんなことをするなんて珍しいわねなんて笑いながらお父さんの隣に当たり前のように座る冴子さん。



肩を並べて座る二人の後ろ姿を見て、やっぱり二人はお似合いだなと思う。でも私は義兄妹にはなりたくない。たとえ、恋をしても結婚出来るとしてもそれよりも先に、夫婦になりたい。


そんな私の気持ちを見抜くかのように、お皿を拭く手を止めた悠貴さんは優しくあたしの頭をポンポンと撫でてくれた。


「まずお父さんの結果から話していいかな」


洗い物を済ませてお父さんと冴子さんの向かい側に悠貴さんと二人腰を下ろすとお父さんが言った。さっきから緊張感が張り詰めた空気。覚悟を決めて、お父さんが話すのを待った。


「検査の結果、ピロリ菌が原因の胃潰瘍でした。しかも薬で散らせるらしい。だから、心配かたけれど、大丈夫。でも、気持ちは変わらない。僕たちは再婚するよ」
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