鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
「私、こんな奇跡ってなかなかないと思うんです。大好きな人が大好きな人のお母さんと再婚して、自分も大好きな人と結婚するなんて。だから絶対に結婚式は二組で挙げたいんです」

「でも、美晴ちゃん。それならせめて友達や会社の人を呼んでもいいんじゃないかしら?せめて、琴美ちゃんだけでも」

結婚式が決まった後、お義母さんが二人で出かけたいというので、前に二人で行ったイタリアンのレストランに行き、お義母さんにそう言われた。

「家族婚をしたいんです。家族だけで四人だけで挙式を挙げたい。その代わり、琴美たちにはお祝いパーティーを開いてもらうので気にしないでください」

四人だけの挙式を挙げたい。
結婚式は家族だけで。

私の思いを汲み取ってくれたお義母さんは、それまで少し結婚式に消極的だったけれど、考えが変わったように積極的になり、ウエディングドレス選びは中でもかなり慎重になっていた。

そうして迎えた結婚式当日。四人でこの日に決めたのは、そう、この日こそがあの嘘恋の始まりの日。去年の今日すべてが始まった日だから。

「結婚式前日は、それぞれの親と過ごそう」

昨日、私はお父さんと過ごした。お母さんの話をしたり、思い出を語り合った。二人とも目には大粒の涙でなかなか眠ることも出来なかった。
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