鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ

昨日の出来事が鮮明に頭を過ってニヤニヤとしながらキッチンに向かうと、お父さんは起きていて、ダイニングテーブルでコーヒーを飲みながら、新聞を読んでいた。

「おはよう、お父さん」

「美晴、おはよう。昨日は楽しかったかい?」

「うん、楽しかった。課長ってかなり遠くに住んでるんだってね。通勤毎日、大変だろうな」

冷蔵庫からお気に入りのカフェオレを出して、コップに注ぐ。うん、このカフェオレはやっぱり外せない。昨日の飲み会のことはお父さんに話していたから課長と一緒だったことは知っていた。


「あれ?言ってなかったかな?向かいの部屋がちょうど空いてるだろう?だから冴子に勧めたら気に入ったんで、来週二人、うちの向かいの棟の部屋に引っ越してくるんだ」


「えっ?!何それ!そんなの聞いてないよ!」


「あれ?言ってなかったかな?」じゃない。もう、どうしてそんな大切なこと言い忘れてるわけ?あやうく飲んだカフェオレを吐き出すかと思った。


引っ越してくる?うちの向かいの棟に?!そんなこと昨日、課長は一言も言ってなかった。犯人は、お父さんだな。


「お父さん!それ、課長に口止めしたんでしょ?あと、聞きたかったんだけれどうちの課長とお父さん、面識あったんでしょ!しかも、黙っててほしいって言ったなんてなんでそんなこと言ったの!」


「課長?美晴は悠貴くんと付き合ってるんだろ?あれ、だからてっきり悠貴くんから聞いてるのかと。昨日もデートだったみたいだし」
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