鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
「で、何が不満なの?」


お昼休み、ここ最近のことを琴美に話した。今日はオムライスをお弁当箱に詰めた。


昨日テレビでやっていたから無償に食べたくなって作ったけれどあのトロトロなオムライスが食べたい。そう思いながら自作のオムライスを口に運ぶと目の前の琴美が呆れた顔をする。



「何が不満って、そんなの全く恋愛対象じゃないってことに決まってるじゃん」



「家が向かい。いつでも誘える距離。そんな、美味しい境遇なんだからどんどんアピールすればいいじゃない」



「ア、アピール?!そ、そんなの出来るわけないよ!だ、だって私はただの・・・」



「バカ、バカよ美晴。あんたが向こうに苦手だって態度出しててそれでも向こうは歩み寄ってくれてるんでしょ?それで一線引かれたから諦めるの?向こうはあんたが苦手なときもちゃんとあんたを見てくれてたんだから今度はあんたから歩み寄りなさいってこと」


「シャイなのも可愛いけれどたまには自分から動いてみなさい」と言った琴美は、パクパクとコンビニのサラダを食べ始めた。私から歩み寄る?


そうだよね。私はずっと課長が近づいてくれるのを待ってるだけ。目が合って恥ずかしいのも今では嬉しい気持ちのほうが強い。



それでも、目をすぐにそらしちゃうから課長はあんなことを言ったんだ。



『やっぱり嫌いなやつと結婚なんて・・・』




嫌いじゃないって否定したけれど私がしたのはそれだけ。きっと課長はまだ私の気持ちなんてこれっぽっちも気づいてなんていない。
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