鬼上司？と嘘恋から始めるスイートラブ
「あれ？お昼前には暗い顔をしていたのに、今は顔色が変わったわね。美味しいものでも食べたの？」


お昼休みを終えて戻ると、唯野さんがニヤニヤとあたしを見ながらそう言った。エヘヘと誤魔化す私ににコソッとまた耳打ちする唯野さん。


「美味しいものじゃなくて、楽しいことでもあったのかな」

その問いかけにまた笑みを返した。それなのに、片想いってこんな感じだった？今まで何とも思わなかったことが気になる。


たとえば、好きな人と自分よりも美人で綺麗な人が話しているだけでチクッと胸が痛む。見ないようにしなきゃ。楽しそうに笑い合う姿なんて。さっきまでの気持ちとは一転、胸が苦しい。

仕事、仕事しよう。こんなことでミスなんてしたらせっかく認めてもらえていたことがダメになる。それなのに目の前の画面が、数字が頭に入ってこない。




ダメだ。泣いてしまいそう。




その横でガタッと立ち上がる唯野さん。ツカツカと課長の元に歩いて行く姿が見える。そして課長に何かを話して戻ってきた。



「美晴ちゃん、リフレッシュルームに行こう。課長にも具合が悪そうだって伝えてきたから」




唯野さん。唯野さんに支えられ立ち上がると課長の心配そうな表情が見えた。軽く会釈をすると大きく頷いてまた口をパクパクしている。




『無理するなよ』それだけで瞳が潤む。私情で仕事が出来ないなんて社会人失格だ。また軽く頷いて唯野さんに連れられ、デスクを離れた。
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