鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
「なんかごめんな。いつも冴子が呼び出して」

「いえいえ。お父さんと二人じゃあんなに賑やかじゃないので楽しいです」


星明かりの下、二人で並んでコンビニまで歩く。さすがに今日は赤信号で走るなと最初に念押しされたから今は信号待ち。またデザートコーナーに一目散で行くのかと考えるとつい笑ってしまう。


「楽しい?特に会話もないし、賑やかか?みんなそれぞれテレビ見たり携帯弄ったりで何のための集まりか俺は分からないけどな」


「私もそう思ってました。でも、冴子さんとさっき話してこれが家族の団欒なんだなって」


「家族の団欒?」


「全員が姿の見える場所にいて、ちゃんと声が聞こえる空間で時間を過ごす。そう考えるとお父さんと二人で過ごす時間よりずっと賑やかで楽しいなって」

「確かに。冴子はガミガミ煩いから俺、いつも自分の部屋に閉じこもってるけど、今日みたいに大人数だと自然とリビングの居心地がいいなと思った」
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