礫森君と不思議な世界

ズドン、と重い重低音が鳴り響く。
その音の正体が何か、その音の捉えたものが誰なのか、理解するまで時間はかからなかった。

大切なひとがその”銃声”に捉えられたその現実-ゆめ-を、ぼくは受け止めることができなかった。







9月。
今日から二学期の始まりである。
僕、礫森来夏(れきもりらいか)は、今日までずっと、ほんとに何もないつまらない人生をただひたすらに歩んできた。
田舎で住んでいた僕は、自分を変えたい。そう思い、一人で都会に出て、この星宮学園に入学した。
でも、現実なんてものはそんなあまくなくて。親元を離れ一人暮らしを始め、高校に入学したところで何かが変わることはない。中学と同じように、友達と浅く関わり、そして卒業して大人になっていくのだろう。
そう感慨に浸りながら僕は、二学期の初日を迎えていた。
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