礫森君と不思議な世界
一人暮らしでバイトもしていない、親の仕送りだけで暮らしている僕は、もちろんお金に余裕があるわけでもない。そのため、僕は学校から少し離れたアパートに一人暮らししている。
家を出て10分ほど歩き、入り組んだ都会の商店街を抜ける。そこから更に10分歩くとまっすぐ長い坂道。それを登ると僕が通っている学校、星宮学園が見えてくる。
星宮学園にたどり着く一本道の長い坂を登っている最中、僕は後ろから軽く肩を叩かれた。
「おっす、れき。」
「あぁ、神谷。おはよう。」
「最悪だよなあ。始業式から授業だなんてよぉ。」
話しかけてきた髪の毛をツンツンにしている男は神谷 隼人(かみや はやと)。この学校で始めて出来た友達。
入学式の日、無駄に広い星宮学園で教室がわからなかった僕に声をかけてくれた、とても親切なやつである。
「そうだなあ。僕は宿題やってきたからいいけど、神谷はやったの?」
「あっ!!やべえ…。」