恋しくて、哀しくて
日曜日は、朝から快晴。昨日作ったてるてる坊主のおかげかな?なんて思いながら、空を眺めた。


「早く、早くぅ!」



リュックを持った学が、駅に近付くと、急に走り出した。早く電車が見たくて仕方ないのだろう。


その後ろ姿を謙一さんが駆け足で追いかける…。そんな2人の姿に目を細めながら、私はゆっくりと歩いた。



最寄りの駅は、始発駅。出発時刻より先に電車が止まってまっている。それをわかっている学は、電車が発車する前に、見るのを楽しみにしている。彼は、乗るより見るほうが好きなようだ。



駅に着くと電車のホームの先頭に立つ学と謙一さん、それから運転士の姿が見えた。



「お母さ~ん」



学が無邪気に手を振る。謙一さんと運転士が、なにやら言葉を交わしていた。



私の胸が、騒がしくなった。



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