オタク彼氏に困っています。
「梨本さん、ありがとう。梨本さんのお陰で数学の時間が素敵な時間に変わったよ」
「あははっ。私は最悪の時間だったけどね、上原くんのせいで」
魔の数学の時間が終わり、やって来ました昼休み。
昼休みは図書室で過ごすのが私たちの日課なのだ。
いや、正確には上原くんがなんだけど。
私はただ、本を借りに来ている上原くんに勝手について来ているだけだったりする。
そりゃあ、授業の時間を惜しんでまで本を読んでいたら、毎日借りに来ないと読む本なくなるよね。
「梨本さんが先生の気を引いてくれたお陰で本を全部読めたんだよ」
「あのー....上原くん」
「ん?」
無表情にペラペラ喋り続ける上原くんの名前を遠慮がちに呼ぶ私。