猿女の恋愛事情
「新しい恋とは言え…新しい出会いがまずないよね。」
活発で人一倍元気っ子の私はそのくせして人見知りで、他のクラスに友達はおろか話しかけることすらできない。要するに出会いがない。
翔や理人は同じ学校だけど10クラスもあって二人とも違うクラスだ。
そういえば中学校に入ってから一回も話してないなあ。
見かけてすらいないし、この学校どんだけでかいのよ。
あの人イケメンだよね、とかあの人いいなあとかは聞くんだけど…私からしてみたら冬馬くんには全然劣ってて…いい出会いなんて全然ない。
「はああ…イケメンよでてこっンゴッ!!!!」
何か柔らかいものにあたって私はその反動でしりもちをついた。
一目でそれは人だとわかって頭を深く下げて謝る。
「す、すいません前方不注意でっ。」
「あれ、お前…恋歌?」
聴いてない内に低くなったその声に私は聞き覚えがなくって、恐る恐る顔をあげた。