猿女の恋愛事情
集合団地に住んでいる私たちは生まれたときからずっと一緒だった。
「おはよ!かっけ!ほら早くしないと学校遅れちゃうよう!?冬馬も理人ももう来てるんだから!!!」
かっけと呼んだのは翔のこと。
みんなからそう呼ばれていて馴染みがありすぎてもはや本当の名前を忘れちゃいそうになるくらい。
そしてこいつはとびきり朝が弱い。
「ふぁあああ。先行っててくれていいのにさあ。」
ほら、今だってもうみんな用意ばっちりなのにまだパジャマなんて着てる。
「かっけ早くしてよ。待ってるんだけど。」
不意に冬馬が家のドアに手をかけていた私の耳の後ろあたりから声を出す。
わっ///
冬馬は背が高くて、小学校に上がってから柔道を始めて体もしっかりしてて大人で…って
そう、小学3年の私は冬馬が好きだったんです。