白雪王子様。
「遅い」
「し、ししし白井さん!?」
「電話にも出ない、メールも返さない。挙句の果てにはアナウンスがなっても来ない。どういう事だ」
「す、スミマセン!!!い、今会社に着いたばかりで!!」
「知らん、行くぞ」
「へ!?」
「間抜けな返事だな。この前の借り、返してもらうからな」
「い、いいいい今ですか!?」
「文句あるか?」
「あ、ありますよ!!!私にだって仕事が!!!」
「安心しろ、編集長とやらには俺が報告している」
「はっ!まさか…だから編集長あんなニヤニヤしてたんだ…ッ」
あのクソジジイ!!知ってるなら教えてもいいじゃない!!
(目上の人にクソジジイと言ってはいけません)
「とっとと荷物まとめて来い」
「い、今すぐにッ!!!!」
私はまた来た道を走って戻るのだった。
オフィスに着くとなんだが社内が妙な雰囲気になっている事はのちにわかったこと。
麻美も編集長も後輩も私と白井さんがいい関係になってるって思ってたということを知ったのはもっと後の事になる。
「そ、それで今回は何処へ?」
「新幹線乗るぞ」
「はい?」
「今から秋田だ」
「はいぃいいいいいい!?」
「五月蠅い」
いくらなんでもフリーダムすぎるだろっ!!
なんなの!?この人どっかのボンボンなの!?
どっかの王子様なの!?
いきなり秋田いくとか言われてもどうすればいいの!?
「そ、それはもちろん日帰りですよね…ッ」
「二泊三日だ」
「はぁっ!?」
「五月蠅い、金なら俺が出す」
「いやいやいや!!そんな事言われましても!!」
「有休使えばいいだろう」
「そんな簡単に言いますけ―――」
「急ぐぞ」
もう何なの……ッ
神様、仏様、イエス様
私が一体何をしたというんですか。
どうしてこんな振り回されなければいけないんですか。