白雪王子様。
新幹線の中では相変わらずのあの雰囲気。
終始無言。この言葉が最適だろう。
私達は秋田に着くまで一言も交わさなかった。
私もさすがにこんなに振り回されてる事にイライラしていた。
白井さん自由奔放すぎ、ってかこれって自己中心的っていうんじゃない?
私にだって事情あるのに…暴君ってこのことか?
ここはいつもの仕返しをしてやる。
そう決めたのはどこぞへ向かうバスの中だった。
「し、白井さんって女みたいな名前ですよねェ」
「何、急に」
「白井雪って、どこからどう聞いても女ですよねェ??私最初美人でおしとやかで礼儀のいい女の方だと思ってましたァ」
「お前、喧嘩売ってんの?」
「別にィ、売ってませんけどォ?」
「その口調、明らかに侮辱してるだろ」
「いやいやいやァ、褒めてるんですよォ?私みたいに平凡でどこにでも居そうな名前とは大違いだなァと思ってェ」
「あ”?そろそろ殴っていい?」
「調子のりましたスミマセン」
私は即座に負けを認めた。
何がしたかったんだ私…。
仕返しとはいえ人の名前を馬鹿にするとか最低な行為だよね。
でも毎日私に酷い事を言ったり連れまわしてる白井さんの方が重罪だよね…。
そう心で納得しておくことにした。