やばい、可愛すぎ。


忘れもしない。

一人で留守番をしていた家に、一本の電話がかかってきた。


父からだ。


父は、お母さんが手術に成功してもう面談しても構わないから、病院に行こうというものだった。


俺はやっとお母さんに逢えるんだ、とお母さんが元気になったんだと電話の前で、何度も飛び跳ねたのを覚えている。



久々に会う、母親の顔を何度も思い浮かべながら父の車に揺られて───病院についた。


一歩一歩進む階段だって、緊張でなかなか進めない。

いつもなら、あんなに駆け上がっていた階段も、長い廊下だって───ああ、やっとお母さんにあえる。



お母さんの病室の前。


ドアを開けると、いつものように───こちらに優しく、温かな安心する笑みを浮かべるお母さんがいた。




───おかあさんっ!



俺は、母の名前を呼んだ。


そして、次の言葉に、俺は言葉を失ったんだ。



< 249 / 514 >

この作品をシェア

pagetop