やばい、可愛すぎ。
「さっ」
皐月くんっと大声で言いそうになって、私はその声をくっと飲み込んだ。
平常心、平常心。
今、私の心を乱している張本人を目の前にして、うろたえていたらますます、だめだ。
「……おはよう」
「……」
皐月くんが私のことをじっと見たまま、しばらく動かなかったけれど、
「ふぅん」
と面白くなさそうに目を細めた後、思いついたようにつんと、私の目を指して言った。
「くま」
「は?」
くま?
いきなり言われて、呆然とする私を面白そうに笑って、怪しげに口元を釣り上げると、言った。
「俺のこと気になっちゃって、寝れなかった?」
「っっ……!」
ばっと慌てて、私は目の下のクマを隠して、きっと皐月くんを睨みつけた。