やばい、可愛すぎ。
微妙な距離を保ちつつ、私たちは教室へ向かう。
私、あの時は皐月くんを抱きしめたりとか……頬に、……したりとか。
出来てしまったことが、不思議でならなかった。
今は、隣に男の人がいるだけで変な緊張で体が固まるのに。
……あの時は、必死だったから……。
「ね、今日HRで学園祭の出し物決めるから、
その前に話しておきたいこともあるし……お昼一緒に食べない?」
「あ、うん。いいよ。小夏ちゃんも一緒で大丈夫?」
すぐ隣で、爽やかな笑みを浮かべながらありがとう、と水瀬くんが頷いてくれた。
以前は、自分がこうして男の人に話しかけられたら、ものすごい身構えていたけれど、
今は前よりも、良くなった気がする。
……ショック療法が、効いたのかな。
確かに、勇気を出してたくさん、触れることができたんだもの……ちょっとは、克服されるよね。