やばい、可愛すぎ。
「ゆり、何食べたい?」
手を引かれながら、私を振り返って皐月くんはそういった。
だんだんと、視線が気にならなくなっていく。
まるで、お父さんが隣にいてくれているような、感覚。
温かな手の温度は───とても、お父さんに似ていて。
「……りんごあめ」
「……っふ、了解」
皐月くんは、子供っぽいって笑いながらも、りんごあめの売っている店まで手をひっぱってくれる。
その大きな背中をじっと見つめながら───
「ほら」
皐月くんは、一番こぶりなりんごあめを買うと、私に渡してくれた。
お礼を言って、受け取ろうと手を伸ばした、そのとき。
「まだ、だめ」
そういって、後ろにひっこめられてしまった。な、ここまできて私をからかうの、皐月くんはっ。