やばい、可愛すぎ。
いじける、私をくすりと笑うと、
「ほら、よく見てて」
皐月くんはそういって、ポケットから取り出したハンカチをりんごあめの上にかけると、
「りんごあめが、2つになーれ」
と照れくさそうに、言った後、ぱっとそのハンカチを取り払った。
「───わああっ」
私は、思わず感嘆の声を上げる。
さっき持っていた、りんごあめと、もう一つ綺麗な青色のりんごあめが皐月くんの手に握られて。
「すごいすごいっ!皐月くん魔法使いみたい!」
魔法使い───その言葉に、私ははっと思い出す。
そうだ、お父さんは落ち込んでいる私を見るたび、ポケットから飴を取り出して、マジックを見せてくれたっけ。
私は、それを見て魔法使いだって───お父さんに。