やばい、可愛すぎ。
皐月くんと別れた後、教室の片づけをして───打ち上げしようと、廊下で盛り上がるクラスの後ろを歩いていた、そのとき。
───ぐいっ。
「わっ……!」
いきなり、横から出てきた手に引っ張られて、そのまま後ろから抱きとめられた。
な、なななな何!?
混乱しながら、振り返ろうとすると、
「し。黙って」
耳元で、聞き慣れた───皐月くんの声に、私はますます驚きが隠せなくなってしまう。
な、なんで私後ろから抱きしめられてるの!?
混乱する私など気にも留めないで、皐月くんはクラスの声が遠ざかったのを確認して、するりと私から離れてくれた。
驚きで胸を押さえて、心臓が落ち着くのを待っている私に、
「もっと抱きしめてほしかった?」
と、皐月くんが意地悪に聞いてきたときは、本気でたたこうかと思ってしまった。