やばい、可愛すぎ。


そろそろ視線と頭が痛くなってきた、そのとき。


うっうっと言葉を詰まらせながら、いきなり幼稚園児がびしっと何かを指さした。


なんだ、と思って視線をたどると、近くのコンビニに『春限定!さくらアイス!』と書かれたのれんが垂れ下がっている。


「……」


ジト目で幼稚園児を見下げると、


「う、ぅうっ……」


と、また瞳をにじませ始める。


「……はぁ。わーかったよ、だから泣き止めウザイ」


「っ……わかった」


頭をかいて、相変わらず俺の制服から手を離さない、この見知らぬ幼稚園児に思わずため息が漏れそうになった。




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