「秘密」優しい帰り道【完】
凪くんは繋いだ手をそっと離した。
「わかった」
そう言って、すぐそばのベンチに座り、
私も隣りに座ると、凪くんはベンチの背にもたれて、
私は少し前かがみに座った。
気持ちに整理をつけようと、
凪くんとの関係を終わりにしようと、
希未さんに似ていると知った時から、ずっとそう自分に言い聞かせてきた。
受験前には、終わりにしようって、
気持ちをすっきりしてから、試験にのぞもうって思ってきた。
神社に行く日に、自分の気持ちを告げて終わりにしようって決めて、
その言葉をずっと考えてきた。
でも、
うまくまとまらなかった。
今もまだ、まとまっていない。
「くるみ?」
優しく隣から名前を呼ばれて、それだけで泣きそうになってしまった。
泣かないで、終わりにしよう。
泣いたって、何も変わらない。
とにかく、自分の気持ちをひとつひとつ伝えていこう。
「凪くん、私ね........」
「うん」
「私はね......これからもずっと、凪くんのことが好きでいる」
「うん」
「今までも、これからも、ずっと、凪くんが好き」