「秘密」優しい帰り道【完】
「くるみ?」
凪くんは、ベンチの背から体を起こした。
「好きになってくれなくてもいい。
片思いでもいい。
ただ、嫌われたくないって思ってたけど、
でも.......」
私は顔を上げて、隣りの凪くんの顔を見つめた。
「誰かに重ねられるぐらいなら、
嫌われた方が、ずっといい」
凪くんは、目を見開いて驚いた。
「くるみ.........」
私はじっと凪くんの目を見つめた。
「嫌われるよりも、
誰かと重ねて優しくされる方が、
何倍も何倍も.......辛い」
凪くんは、私から目をそらして俯いた。
「ずっと、最初から.......
出会った時からずっと、
凪くんには、私が見えていなかったんだね.......」
凪くんは、ずっと俯いたままだった。
「凪くん」
私が呼びかけると、
凪くんは俯いたまま、
言って欲しくない言葉を、
苦しそうな声でつぶやいた。
「ごめん.........」