「秘密」優しい帰り道【完】
3月になった。
神社に合格祈願に行ってから
一度も凪くんを見ないまま、受験当日を迎えた。
同じ高校に行けば、どこかで会うかもしれない。
それでも、私はO高校に行きたい。
ずっと目指してきた高校だから。
凪くんのことは、関係なく、
私はO高校に合格したい。
ずっと、頑張ってきたんだから.......
学力検査、
面接と、
今まで頑張ってきたことをなんとか出し切ることができた。
あとは、6日後の合格発表を待つだけだ。
夜、自分の部屋でリュックにぶら下がった合格祈願のお守りを手のひらにのせた。
凪くん.......
また思い出してるなんて、私未練がましいな.......
もうきっと凪くんは私のことなんか忘れている。
そもそも私は、希未さんの身代わりだったんだから。
私のことを忘れるなんて、簡単だよ。
リュックからお守りを外そうと紐をつまんだ。
待って。やっぱり合格発表が終わってからにしよう。
私は紐から指を離してお守りを握りしめた。
合格していますように。
そう言って、布団の中に入って目を閉じた。