「秘密」優しい帰り道【完】





土手の途中で、凪くんは振り向いた。





「私......


私の気持ちばっか凪くんに押し付けて、


凪くんの気持ち、聞いてない。



受験が終わったら、聞いてほしいって言われたのに、



私......このまま聞かなかったら、



後悔する。




だから、聞かせてほしい。



凪くんの気持ちを、


全部、私に話してほしい」




大きな声で、少し離れたところで振り向いた凪くんに言うと、

凪くんは、下を向いてしまった。



しばらくそのまま、



下を向いた凪くんを見つめていたら、


苦しそうな顔で凪くんが顔を上げた。




「俺.......


2学期の始業式の日。


笑吉屋のベンチに座って、店の中にいるくるみを、



ガラス越しに見た時、



幼馴染の希未に似ていると思った」




幼馴染........



希未さんは、幼馴染だったんだ。



「でも、


俺の手の上にペットボトルの蓋をのせたくるみを間近で見て、


やっぱ似てないって、


違うって思った。



ずっと小さい頃から希未を毎日見ていたから、

なおさら違うって思った。


似てない、


同じじゃない。



だから、くるみを希未と重ねたことは、


一度もない。



くるみを希未と思って接したことなんて、



一度もない。





ただ........」




















< 115 / 123 >

この作品をシェア

pagetop