「秘密」優しい帰り道【完】





「ごめんね凪くん.........



足のこと気づかなくて、


希未さんと重ねているって疑って、



本当にごめんね.........



凪くんには、私のことが見えてないって言ったけど、



それは逆だったんだね。



私の方が、凪くんのことちゃんと見えてなかった。



ごめんね凪くん




本当にごめんね......」







凪くんは、両手で顔を覆っている私ごとぎゅっと抱きしめてきて、



私の頭を優しく撫でた。



凪くんの匂い



凪くんの鼓動



「好きだよ、くるみ。




今はまだ、ゆっくりかもしれないけど、

いつか、普通の速さで歩けるように、


俺……頑張るから。


だから、


ずっと一緒に、


俺と一緒に、


歩いていってほしい」




胸から響いてきた凪くんの気持ちに、


両手から顔を出し、


胸の中から凪くんの顔を見上げて、



涙をこぼしながら、頷いた。



「ゆっくりでいいんだよ……


ゆっくりでいいから……



私、凪くんの歩くペース好きだよ。


そのままでいいから。



早く会いたい時は、

私が凪くんの元に走るから。


一緒にゆっくり、


休みながら、


歩いて行こうよ……」








すると、目の前の凪くんが大好きな笑顔を見せて、



私の頭をぽんぽんと撫でた。




「ありがとう、くるみ」




そう言うと、私の頭にあった手を頬に滑らせて、


伏目がちの凪くんの顔が近づいてきたから、


私はぎゅっと目を閉じた。




優しく唇を塞がれたと思ったら、

ふっと離れて、


ゆっくりと目を開けると、


私の唇を狙っている凪くんが見えて、


また目を閉じると、


頬にある凪くんの手が、私の首の後ろに回って、



柔らかく唇を押し当ててきた。






















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