「秘密」優しい帰り道【完】
「ん?」
凪さんは、アイスコーヒーを持って首を傾げた。
「き、緊張して飲めなくて、
せっかくもらったのに.......すみません」
両手で缶を握りしめて、ぐっと下を向き、
グレーのスカートの上にある缶を見つめた。
「緊張してんの?」
「はい」
「俺そんな怖いかな......」
凪さんの言葉にハッとして顔を上げると、
凪さんは少し俯いて、
自分の髪をくしゃくしゃっとしていた。
えっ、そういう意味の緊張じゃない、違う。
凪さんが怖いわけない。
怖がっていると誤解されるのは、
嫌だ......
「あ、あの.....怖いわけじゃないです。
全然......
凪さんは、優しい人だと思うので」
バカだ。正直に言い過ぎた。
恥ずかしすぎる......
ぐっと下を向いたら、
両手で握りしめていた缶に凪さんの手が伸びてきて、
人差し指でプルタブを起こした。
「あっ」
開けちゃった......
「なんで名前知ってんの?」