「秘密」優しい帰り道【完】
中学最後の夏休みは、
勉強で終わった。
陸上部に中学生活の全てを捧げてきた私は、
部活引退後、目をそらし続けてきた受験に向かって、
しかたなく頑張ることにした。
なんとしても、中学の隣のO高校に合格しなくちゃ......
2学期始業式の朝、
大きな川を左手に見ながら、
土手を歩いて学校に向かった。
朝だというのに、背中からの日差しが痛い。
二つに結わった長い髪、
じりじりと痛む首の後ろを押さえた。
暑っ………
土手から川に続く緑も、
ゆっくりと流れる川も、日差しが反射してキラキラ輝いている。
5分ほど土手を歩き、中学が右手に見えてきたら、
古い石段を下り、
校門前の駄菓子と文房具を売っている小さなお店、
【笑吉屋】(しょうきちや)のおばちゃんに挨拶すると、
校門の中に入った。