「秘密」優しい帰り道【完】
「なっ、なんでもないです」
パッと目をそらして、恥ずかしくなって下を向いた。
アスファルトに映る凪さんと私の影。
橋まで5分。
こんな恥ずかしがっている場合じゃない。
凪さんと帰れるチャンスなんて、もうないかもしれない。
何か話しかけなくちゃ、あっという間に橋に着いてしまう。
何か......何か....
「あの、えっと......」
緊張して、何を話せばいいのかわからない。
凪さんが首を傾げて私の言葉を待ってくれている。
えっと、えっと......
そうだ、何か質問を......
「えっと.......あ、そうだ、凪さんは、何年生なんですか?」
そうだ、こうやっていろいろ知りたいことを質問してみればいいんだ。
凪さんを見上げると、凪さんはまっすぐ前を向いた。
「俺は.....高2」
そっか、2年生なんだ........
えっと、後は.......
「あと、凪さんは......」
「あのさ」
もうひとつ質問しようとしたら、凪さんがこっちを向いた。