「秘密」優しい帰り道【完】
凪くんは優しく微笑んで、
一度下を向いてから、また顔を上げた。
「ずっと?」
首を傾げて、優しく微笑みながら聞いてきた凪くんに、
胸がきゅんとした。
あぁ、ずっとってちょっと図々しかったかな......
遠回りさせておきながら、毎日ずっとって、
私、なんて図々しいお願いを.......
「くるみ」
下を向いていたら、優しい声で呼ばれて、
顔を上げた。
「ずっと一緒に帰ろうな」
ははっと笑って「じゃあな」と、凪くんはまた向きを変えて歩き出した。
後ろ姿をずっと見つめてしまった。
ずっと一緒に。
嬉しすぎる.......
まっすぐ続いている土手の上をゆっくりと歩く凪くん。
また、明日も会える。
明日も明後日も、
ずっと繋がっていられるんだ......
スロープを下りる前に凪くんが振り返った。
小さく見える凪くんに思いっきり手を振ると、
凪くんがスロープを下りて私から見えなくなった。