「秘密」優しい帰り道【完】
塾が終わり、
自転車に乗ると、茜が早速話の続きを聞いてきた。
「また明日も一緒に帰るんでしょ?」
「うん」
大通りをまっすぐ茜とゆっくり自転車をこいだ。
「デート、誘ってみたら?」
「で、デート???」
信号で止まって、私がびっくりしながらそういうと、茜は真面目な顔で頷いた。
「もっと彼のこと知りたいんでしょ?近づきたいんでしょ?
ガンガンいかなくちゃ」
「でも、土日は自習室で勉強したほうがいいじゃん。このまま恋愛に夢中になっていたら、
私、落ちる気がする」
はぁと、受験生なことに深いため息をついた。
「だって、彼O高校の人じゃん。2年ってことは、
来年一緒の高校に通えるんだよ?
それを目標にすれば頑張れそうじゃない?
恋の力はすごいと思うよ?」
そっか、合格すれば凪くんと同じ学校になるんだ。
凪くんが3年で、私が1年で.......
そんなの幸せすぎる!
「茜......私、絶対に頑張る!!絶対に合格する!!」
信号が青に変わりまたゆっくりと自転車を走らせた。