「秘密」優しい帰り道【完】
「一日ぐらい息抜きしたっていいじゃん。
私も彼氏がいたら、デートしたいよ。
ね、デートで充電して、また次の日から頑張る。
くるみ、デートだデート!」
うんうんと茜は頷きながら自転車をこいでいる。
「女の方から誘ってもおかしくないかな.....」
「全然おかしくないよ。だって、好きなんでしょ?
待ってるだけじゃ、何も始まらないよ」
確かに、茜の言うとおりだ。
待っているだけじゃ何も始まらない。
凪くんとの距離を、一歩でも縮めたい。
「私、誘ってみる」
大通りの途中、高校と中学の方へ私は曲がるから、
茜とはいつもここで別れる。
「うん、くるみ、頑張って!私に報告忘れないでよ!」
「あははっ、わかった。茜、話聞いてくれてありがとね。
じゃあ、またね」
二人、それぞれの方向へと自転車を走らせた。
スロープから土手に上がり、どうやって誘おうか自転車をこぎながら考えた。
でも、断られたら......
あぁ、だめだ、すごくマイナス思考になっている。
緊張するし、怖いし。
でももしデートできたらって想像すると、
それは、幸せすぎて.......
やっぱ、頑張って誘おう。
明日、帰り凪くんに言う。絶対に言う。
明日は金曜日。
土曜日か日曜日、空いてますか?ってまず聞く。
よし!
勇気を出すんだ、うん。
私は自転車を立ちこぎして、スピードを上げた。