「秘密」優しい帰り道【完】
校門前に行くと、いつものように凪くんたち4人が、
ベンチに座っていた。
「ね、どの人?」
まるで探偵のように5人は校門前からベンチをじろじろと見つめた。
「手前のベンチの左側の人」
「後ろ向きじゃん、見えないよ」
「こっち向かないかな......」
「くるみ、名前呼んでよ」
「えー!そんな恥ずかしいよ」
その時、くるっと凪くんが振り向いて、
私を見て優しく微笑んだ。
「うっわ、めっちゃかっこいいじゃん」
「笑顔がやばいって」
「あんなイケメン、隣の高校にいたんだ......」
みんながジロジロ凪くんを見て話はじめたせいか、
凪くんは振り返ったまま、きょとんとした顔をした。
「くるみ、頑張ってきな、ほら」
にやにやしている茜にぽんと背中を押されて、
凪くんのそばに駆け寄った。
「友達?」
凪くんが私を見上げて笑った。
「うん、なんか凪くんを見たいって言って.......
ごめんなさい」
「あはははっ、凪、中学生にはモテんな」
「そういう事じゃねぇーだろ」
凪くんは、ゆっくりと立ち上がった。
「行こ」
私の前を通り過ぎる時、こっちを見ないままそっと手を繋いできて、
引っ張られるように歩き出した。
後ろを振り返ると、茜たちが手を振っていたり、
ガッツポーズをして応援してくれていて、
私は大きく頷いて、また前を向いた。