「秘密」優しい帰り道【完】
手を繋ぎながら、ゆっくりと土手を歩いた。
土曜日か日曜日、時間空いてますか?
暇ですか?
どっちがいいかな.....
「くるみ?」
名前を呼ばれて、ハッとして凪くんを見上げた。
「くるみは、どこの高校受けんの?」
高校......
私は、前を向いた。
「高校は......O高校を受けます」
「マジで」
「マジ......です。絶対に合格します」
うん、と前を向いたまま頷くと、凪くんが繋いだ手をぎゅっとしたから、
また凪くんを見上げた。
「じゃあ、来年一緒の学校か。そっか.....
なら、これでよかったんだな、俺」
これでよかった?
どういう意味だろう.......
私が首を傾げると「なんでもないよ」って笑うから、
それ以上深く聞かないことにした。
結局、デートのことは切り出せずに、橋のところに着いてしまい、
凪くんが繋いだ手を離した。
「じゃあ、気を付けて帰れよ」
そう言って高い背を少し屈めて、私の頭をぽんぽんと撫でた。
かわいい笑顔で、顔を覗き込まれて、どうしようもなく好きだと思った。
「凪くん」
頭に手をのせられたまま凪くんを見つめた。
「土曜日か、日曜日か、
えっと、明日か明後日か.......」
凪くんが私の頭から手を下した。
「時間空いてますか?えっと、暇.....ですか?
あの、その.....」
緊張しすぎて、声も体も震えて、泣きそうになってしまった。
ドキドキして、胸が苦しくて。
その時、私の頬に凪くんの手が伸びてきて、
ふわっと優しく頬に手をそえられ、びくっとして上目で凪くんを見た。
「デートする?」