「秘密」優しい帰り道【完】
地下のレストラン街に行き、ぐるっと一回りして、
どこでもいいって言ったら、凪くんはふっと笑って、
おしゃれなパスタ屋さんに私を連れて行った。
こんなに緊張しながら食べるパスタは初めてだと思った。
くるくるしても、くるくるしても、
どのタイミングで口に運べばいいのかわからない。
顔を上げれば、優しく微笑んでいる凪くんがいて、
目が合うたびに頬が熱くなって、そのたびに凪くんが吹き出して笑って......
しあわせだと思った。
目の前でかわいく笑う凪くんが、
好きで、好きで、
どうしようもなく好きで......
「年下に払わせる訳ないだろ」
食べ終わって椅子から立ち上がり、リュックの中から財布を出したら、
ぽんと私の頭に手をのせて、レジへと歩いて行ってしまった。
「私から誘ったのに、それはなんだか悪いので」
店から出て、財布を持ったまま凪くんにそういうと、
財布を取り上げられ、私の背中のリュックを開けてその中に入れられてしまった。
「俺といる時は財布出すな」