「秘密」優しい帰り道【完】
凪くんはまた私の手をぎゅっと繋いで、
エレベーターの方へと歩きだした。
「俺が誘ったんだよ」
凪くんが......?
隣りから凪くんを見上げると、
「俺がくるみをデートに誘ったんだよ」
そう言って、ははっと笑ってまた前を向いた。
前を向いている凪くんに、
「ごちそうさまでした」って小さな声で言ったら、こっちを向いて
「どういたしまして」って、ぺこっと頭を下げた。
エレベーターに乗り、今度は最上階の映画館に行って、
何を見るか二人で悩んだ。
結局、今流行っている3Dの映画を見ることにして、
二人で中に入った。
3Dというものが初めてだったんだけど、この選択が間違いだったことに、
映画が始まって30分後に気づいた。
き、気持ち悪い......
車酔いのような、気持ち悪さ。
ダメだ、どうしよう.....
目を閉じてしばらく様子をみたんだけど、やっぱり治まらない。
通路側に座っている凪くんの前を通って、トイレに行こうかな.....
そう思ってちらっと凪くんを見たら、凪くんが3Dのメガネを外してこっちを向いた。
「どうした?」
耳元に顔を近づけて言われて、凪くんの吐息が頬にあたった。
「ちょっと、酔ったかも......」