「秘密」優しい帰り道【完】
そんな風に、お父さんが.......
「お父さんが、そんなこと考えてるなんて、信じられない。
いつも私の嫌がることばっかりして、
そのせいで、小学校の時、いじめられて......」
橋を二人で歩いて渡った。
「ほんとはね、私......
今通っている中学は、隣の学区の中学なの。
この川で、学区が分かれていて。
小学校の時、私がいじめられているのをお母さんが心配して、
隣りの中学に通えるように、越境申請を出してくれて......
だから、今の中学には、同じ小学校の子がいないの」
橋を渡り切ったところで、凪くんが立ち止まり、
手を繋いだまま私の前に立った。
「中学には絶対に来ないでって、お父さんに言ってて。
私、中学では絶対にお父さんのこと、誰にも知られたくなかったの。
知られてしまったら、またいじめられる、
また、仲間外れにされる。
白い眼で見られて、クスクス笑われて......
だから私、隠していたかった。
凪くんにも、知られたくなかった。
嫌われてしまうと思ったから。
家まで送るって言ってくれた時、私嬉しかったんだけど、
でも……どうしても……」
えっ........
そこまで話したら、凪くんが一歩私に近づいて、ぎゅっと抱きしめてきた。
「凪......くん......」