「秘密」優しい帰り道【完】
凪くんはぎゅっと抱きしめながら、私の頭を優しく撫でた。
突然抱きしめられて、一気に心拍数が上がり、
このドキドキがきっと凪くんに伝わってしまっていると思うと、
ものすごく恥ずかしくなった。
目の前に見える、凪くんのワイシャツ
頬に感じる、凪くんの鼓動
「辛かっただろ......」
凪くんの胸から響いてきた言葉
「本当は、隠したくなんかないよな......
嫌いになんかなりたくないよな......
大切な自分のお父さんを。
なのに、そんな........
辛かったな......」
凪くんの言葉に、はっとした。
私、いじめられたことも辛かったけど、
一番辛かったのは.........
【くるみーーーー!!!!!頑張れ!!!!行けーーー!!!
くるみーーーー!!!!!!】
小学校の頃、毎年毎年運動会で、お父さんは誰よりも大きな声で応援して、
それが私、恥ずかしくて。
【中学には、絶対に来ないでお父さん!恥ずかしいから!!】
そう言った時の、お父さんの落ち込んだ表情。
私......
私が一番辛いのは、
お父さんを傷つけていることだ......