「秘密」優しい帰り道【完】
凪くんの胸に、涙がこぼれ落ちた。
お父さんを隠したいと思っていること
お父さんを嫌っていること
私はそのことにずっと罪悪感を感じていることに、
気づかないふりをしていたんだ。
凪くんがそっと私の肩を押して、私の顔を覗き込んできたから、
泣いている顔を見られたくなくて、下を向いた。
凪くんは、優しく私の頭を撫でてくれた。
「もう、隠さなくていい。
そんなことで、くるみをいじめる奴がいたら、
俺が、守ってやるから」
凪くんの優しい言葉に、顔を上げると、
凪くんは真剣な眼差しで私を見つめて、そっと頬に手を当て涙を拭ってくれた。
「俺も、くるみのお父さん好きだよ」
俺も........
お父さんが好き........
こみ上げてくるものが抑えきれなくて、
唇が震えて、
凪くんの目の前でひどい顔で泣き出してしまい、
下を向いた瞬間、
頭を引き寄せられて凪くんの胸の中で思いっきり泣いた。