「秘密」優しい帰り道【完】
真剣な表情で言われて、そのまっすぐな眼差しにきゅんとしてしまった。
「......信じる」
私が凪くんを見つめて言うと、凪くんは顎から手を離して、私の前髪をくしゃくしゃっとした。
「じゃあ、また明日な」
凪くんは向きを変えて土手を歩き出した。
「そうだ」
少し歩いたところで、凪くんがそう言って振り向いた。
「敬語、使わなくなったな」
あ......そういえば........
「でも手は繋ぐから。
絶対離すなよ。じゃあな」
凪くんはまた前を向いて歩き出した。
どうしても、好きって伝えたかった。
凪くんを知れば知るほど、好きになって、大好きで......
唇に残る、凪くんの唇の感触。
キスされた........
思い出すだけで、ドキドキしてニヤニヤしてしまって、
思い出し笑いしていたら、
街灯の下、凪くんがスロープの前で振り返った。
大好き......
そう思いながら、思いっきり手を振ると、凪くんが見えなくなった。