「秘密」優しい帰り道【完】
「どした?」
「あっ、いや......かっこいいなって思って。
今日、ブレザー着ているから」
恥ずかしくなって、下を向くと、
「何言ってんだよ」って、
凪くんは、繋いだ手をぎゅっとした。
土手を右に曲がって、橋をゆっくりと渡った。
「O高校は女子もブレザーだよね」
「そうだよ」
「私、あと2年早く生まれたかった」
「ん?」
「そうすれば、凪くんと同じ教室にいられたかもしれない。
凪くんの教室に、女子もいるかと思うと......」
あぁぁぁぁ、これって完全に嫉妬だ。
凪くんのクラスにいる女子全員に妬いているなんて.......
橋を渡り切ったところで、凪くんは立ち止まり、
私の頭に手を乗せ、顔を覗き込んできた。
「来年は同じ学校通うんだろ?」
「そうだけど......」
「休み時間は、必ずくるみに会いに行くよ」
休み時間に、会いに来てくれる.......
そんなの嬉しすぎる........
「ほんとに?」
「うん」
「絶対絶対?」
「会いに行くよ。だから必ず合格しろよ」
言い聞かせるように、ぽんぽんと頭を撫でられて、
「うん!」と元気よく返事をすると、
頬をむぎゅっとつねられた。
「くるみって、くるくる表情が変わるな、
ほんと、わかりやすい奴」