「秘密」優しい帰り道【完】
「凪くん......私........」
俯いている凪くんに言いかけて、
私も下を向いた。
聞きたい気持ちと、
聞くのが怖い気持ちで、心が揺れて、
嫌な予感がしては、そんなわけないって掻き消して、
でも、消えなくて.......
やっぱり、そこははっきりさせよう。
怖いけど、
こんな気持ちじゃ私、
不安でしかたない........
「凪くん、私.......
誰かに、似ているのかな......?」
凪くんに聞いても、凪くんは俯いたままだった。
「凪くんの......好きだった人とか?」
凪くんはハッとして顔を上げた。
その表情を見て、嫌な予感が的中してしまったんだって思った。
凪くんの後ろでクリスマスツリーが輝いているのが、
とても、悲しく感じた。
「......似てないよ」
似てない..........
そう言われて、悲しみがこみ上げてきた。
似てないということは、誰かと私を比べたわけで、
凪くんの中にその誰かがいて、
その誰かは、好きだった人なわけで......
「今、私と比べた人は......誰?」