「秘密」優しい帰り道【完】
お守りをぎゅっと握り締めて、
手の甲で涙を拭った。
私、バカだ。
ちゃんと凪くんを信じよう。
私のために、こんな.......
大丈夫、凪くんはちゃんと私を見てくれている。
私が入学するのを待ってくれている。
合格したら付き合おうって言ってくれる。
きっと私を、好きになってくれる。
目の前の凪くんを、
今までの凪くんを全部信じよう。
頭を優しく撫でられる感触がして、目をこするのをやめて顔を上げると、
凪くんが私の頭に手を伸ばして微笑んでいた。
「ありがとな」
えっ........
「俺を好きになってくれて、ありがとな」
凪くん........
凪くんの艶やかな黒目が、いつも以上に光って潤んで見えるのは、
私の瞳にある涙のせいだろうか.......
それとも、凪くんの瞳が........
「うん」
瞬きしながら頷くと、涙が両目からこぼれ落ちた。
凪くんは私の頭から手を離して、頬を撫でて涙拭ってくれた。
少し首を傾げて、優しく微笑んでいる凪くんの笑顔を見て、
大丈夫、信じようって、
凪くんの瞳に今.....私がちゃんと映っているって、
何度も何度も、
心の中でつぶやいた。