「秘密」優しい帰り道【完】
真実
塾に通い続けた冬休みはあっという間に終わり、
3学期が始まった。
3学期に入っても、凪くんと毎日一緒に帰って、
信じる気持ちを強くしていた。
凪くんからもらった手袋を手にはめて、
凪くんからもらったお守りをリュックにぶら下げて、
晴れの日も、雪の日も、
一緒に手を繋いでゆっくり歩いて帰った。
1月も終わろうとしていたある日、
いつものように放課後、校門からベンチを見ると、
凪くんがいなくて、
いつも凪くんが座っているベンチの向かい側に、
潤平さんが座っていた。
「くるみちゃん」
私に気づくと、潤平さんが私に向かって手招きしたから、
私は少し走って近づいた。
「こんにちは」
私は潤平さんに小さく頭を下げた。
「凪は休みだよ」
あ.......そうなんだ。
「風邪ですか?」
潤平さんは、少し俯いてしまった。
「まだ、言ってないのか........」
「えっ?」
「あっ、いや、なんでもない。
うん、まぁ、風邪みたいなもんだよ。
明日は来ると思うよ」